ミシュランガイドに2021年から新設された〝ミシュラングリーンスター〟が話題になっているように、飲食業界でもサステナブルな取り組みを行うレストランが評価されている。

国連SDGsサイト内の発表によると、食品の生産、加工、流通、調理、消費に関連するすべての要素と活動をまとめたフードシステムが、温室効果ガス排出量全体の37%を占めているとのこと。これはレストランだけで解決できることではないが、温室効果ガス排出の削減に取り組むレストランが増えれば増えるほど数値を下げることが期待できる。

しかし、レストランでカーボンニュートラルを実現するには?とつまずく人が多いのではないか。ここでは、カーボンニュートラルなレストランを実現するためのヒントを紹介したい。

1.カーボンニュートラル実現のステップ

カーボンニュートラルとはCO2の排出量をプラス、吸収量をマイナスとして実質ゼロの状態になることを指す。まずは、レストランの事業を行う上で排出する温室効果ガスを算出し、削減すべき部分を特定して実行する。それでも排出してしまう部分は、他の場所での削減・吸収活動に投資するなど、カーボン・オフセットを行うことでカーボンニュートラルを実現することができる。

2.レストランにおける排出量の算出

環境省・経済産業省のグリーン・バリューチェーンプラットフォームによると、排出量の算出には店舗から出る温室効果ガスだけでなく、事業活動に関係するあらゆる排出を合計したサプライチェーン排出量が用いられる。サプライチェーン排出量を算出するためにはScope(スコープ)という概念を理解しておく必要がある。

・Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
・Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
・Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

レストラン事業で考えると、スコープ1は料理をつくる際のガス使用が当てはまる。スコープ2は照明やエアコンなど、店舗で使用される電力に当たる。スコープ3は、食材の調達や従業員の通勤、店舗から出る廃棄物の処理など、店舗外で間接的に排出される温室効果ガスと考えれば良いだろう。
これらを算出するには環境省の排出原単位データベースを活用する方法が一般的だ。

3-1.スコープ1 ガスによる温室効果ガスを削減する方法

厨房でのガスの使用量を削減するためには、熱伝導のいい調理器具に切り替えたり、オーブンを使う際はできるだけまとめて調理したりすることが挙げられる。三つ星レストランのレフェルヴェソンスでは、厨房にレンガの薪窯を作りガス利用を削減している。

3-2.スコープ2電気による温室効果ガスを削減する方法

店舗での電気使用量を削減するためには、エアコンや厨房機器を省エネのものに交換したり、LED照明を導入したりするなど、店舗内の設備を見直すことで削減が可能だ。また、エアコンの温度調整やスタッフへの注意喚起などはすぐに実施できる。

太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず国内で生産できることから、近年注目が高まっている。飲食店が再生可能エネルギーを導入しようと思っても、テナントとしてビルなどに入居している場合には管理会社の都合で難しいケースもあるが、2021年5月にはスターバックスが国内店舗で使用する電力をCO2排出量ゼロの100%再生可能エネルギーへ切り替えると発表するなど前向きな企業も出てきている。

3-3.スコープ3調達・廃棄による温室効果ガスを削減する方法

食材やゴミを焼却して廃棄する際に温室効果ガスが排出されるので廃棄をできるだけ無くすことが重要だ。店舗で出るゴミを最小限に抑えるには、普段捨てている野菜などの皮を出汁に使ったり、コンポストを活用したりすることが考えられる。またオーダーを取る際のコミュニケーションで量を伝えて食べ残しを削減することで食品ロスの軽減も可能だ。

調達の工程でもCO2が排出されるが、植物由来の原材料を選定すれば工業型畜産から排出される温室効果ガスが削減される。地産地消の食材を調達すれば輸送時のCO2排出の削減になるし、食材を自家栽培してしまえばフードマイレージはゼロに近くなる。旬な食材を新鮮なうち使うことは美味しい料理を提供する上で当たり前にやっていることかもしれないが、食材の保管や保存に使われるエネルギーの削減という意味ではサステナブルな行動ともいえる。

従業員の通勤についても、車ではなく公共交通機関や自転車通勤を推奨するのが良いだろう。

4.カーボン・オフセット

CO2排出量をゼロにしたいが、どうしても減らせない部分がある場合に利用するのがカーボン・オフセットだ。他の事業者が実現した排出量削減や吸収量を購入したり、森林活性化に寄与する活動を行ったりすることで自身が排出した排出したCO2を相殺し、実質的にゼロの状態にするというもの。自身の取り組みだけでは難しいが、どうしても実現したい場合に最終手段として利用する企業もある。日本では、森林再生や地域活性を目的として、地域独自のカーボンクレジットを提供している自治体や森林組合などもあるので、どうせオフセットをするのであれば、お店が食材を調達している地域のカーボンクレジットを購入し、オフセットを通じてお店を支えてくれている地域コミュニティを支援するといった方法もよいだろう。

まとめ

いかがだろうか。ハードルの高いものもあるが、今すぐ実践できるものもある。まずは自分のお店が抱える問題点を洗い出したり、メンバーに呼びかけて士気を高めたりするなど、できることから始めよう。中長期の目標を立てて一つ一つ達成していくこともおすすめだ。

【参照サイト】Our global food system is the primary driver of biodiversity loss
【参考サイト】スターバックスコーヒージャパン株式会社|プレスリリース
【参考サイト】グリーン・バリューチェーンプラットホーム|環境省・経済産業省
【参考サイト】なっとく!再生可能エネルギー|資源エネルギー庁
【参照サイト】カーボン・オフセット:農林水産省

table source 編集部
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table source 編集部では、サステナビリティやサーキュラーエコノミー(循環経済)に取り組みたいレストランやホテル、食にまつわるお仕事をされている皆様に向けて、国内外の最新ニュース、コラム、インタビュー取材記事などを発信しています。
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