グリーンウォッシュと誤解されないためには?押さえておきたい5つのポイント

グリーンウォッシュ(グリーンウォッシング)とは、「実態とは伴わない取り組みにもかかわらず、環境に配慮していると見せかける」マーケティング手法のこと。同じく、表面的にSDGsに取り組んでいるように見せかける「SDGsウォッシュ」という言葉も、近年よく目にするようになった。

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たとえ意図的ではなくても、あたかも環境に配慮した商品であるような誤った情報を広めて消費者を混乱させたり、本来の持続可能な取り組みから目を逸らさせてしまう罪は重い。取り組みが失敗に終わるばかりか、企業やブランドのイメージを大きく損なう可能性があり、なかには訴訟に発展する場合もある。

問題に真摯に向き合い、満を持して開始した取り組みを、グリーンウォッシュやSDGsウォッシュだと誤解されないために、企業や飲食店が押さえておくべきポイントを紹介したい。

目次

  1. 具体的な目的や成果を公開する
  2. 計画の実行可能性を示す
  3. ステークホルダーの参加
  4. 第三者機関の認証を得る
  5. コンテストにチャレンジする
  6. まとめ
  7. 1.具体的な目的や成果を公開する

    まずは、取り組みの透明性を確保するために自社の取り組みや目的、成果を正確に伝え、公開することが重要だ。自社のホームページなどで取り組みに関する進捗を公開することで、顧客やステークホルダーからの信頼を得ることができる。

    また、エネルギー使用量や廃棄物の量、リサイクル率などの具体的な数字などを盛り込み、どのような基準や規制に従っているかを説明するとより効果的だ。説明の際には消費者にわかりやすい明確な表現を心掛け、例えば、「オーガニックコットン使用」ではなく、「オーガニックコットン70%」と、具体的な測定単位を使用する。

    2.計画の実行可能性を示す

    企業が取り組みを実行可能にするためには、単に絵空事ではなく、実現するために必要な予算や人員などのリソースを確保していること、そして時間的にも実行可能であることが必要だ。具体的な時間軸を設定することで、計画の進捗を適切に管理し、実行可能性を高めることができる。「2024年に○○に着手し、2030年には○○を完了する」というように、明確な目標を設定し、スケジュールを作成することが大切だ。

    3.ステークホルダーの参加

    顧客、サプライヤー、従業員とその家族などのステークホルダーにも取り組みに参加してもらい、彼らの意見やアイデアを反映しながら取り組みを進めていくのも効果的だ。自社だけでなくより多くの人が関わることで、社会的に責任ある取り組みであることを示すことができる。ステークホルダーを招待し、セミナーやイベントを開催するのもおすすめだ。さらに当日のレポートを公開することで、取り組みが多くの人の参加のもとリアルタイムで進行していることが伝わるだろう。

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    4.第三者機関の認証を得る

    サステナビリティに関する取り組みを第三者機関に認証してもらうことで、企業の取り組みの信頼性を示すことができる。例えば、「一般社団法人 日本サステイナブル・レストラン協会」のレーティング指標は食のアカデミー賞として知られる「世界のベストレストラン50(The World’s 50 Best Restaurants)』の評価指標としても使用されており、世界的な認知度も高い。明確な指標のもとに自社のサステナビリティ活動の現状を把握できる簡易診断ツール「FOOD MADE GOOD50」も提供しているので、現状把握や課題の確認といった意味でも、活用してみてはどうだろうか。

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    5.コンテストにチャレンジする

    4つ目に挙げた「第三者機関の認証を得る」のと同様、コンテストに応募することで客観的な評価を受けることができる。コンテストにチャレンジし、何らかの賞を受賞し公表することで、取り組みの信憑性や説得力が増すだけでなく、他の応募者の取り組みを知る機会にもなる。また、例え受賞を逃したとしても、様々な企業や団体とともにコンテストに参加することにより、業界内やサステナビリティ分野でのネットワークの拡大も期待できるだろう。

    現在、サステナビリティに関するコンテストは数多くある。応募にあたりコンテストの主催者が大手企業、政府機関、NGOなど信頼できる組織であり、専門的な知識や経験がある審査員が起用されているかどうかを確認することが重要だ。また、審査員の選考過程が明確であるかどうかも、事前にチェックしておきたい。

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    まとめ

    消費者庁の2020年の調査によると、エシカル消費につながる商品・サービスを「購入したことがあり今後も購入したい」、もしくは「購入したことはないが今後は購入したい」と回答した消費者は全体の81.2%にものぼる。2016年度の調査と比較して19.4%も上昇しており、環境・社会問題への意識の高まりが読み取れる。

    消費者意識の高まりとともに、取り組みへの視線も厳しいものになっていく。例え誤解であっても、失った信頼を取り戻すためには多くの労力や時間、お金がかかる。「グリーンウォッシュ」「SDGsウォッシュ」と見なされないよう定期的にチェックすることで、自信を持って着実にサステナブルな取り組みを進めていきたい。

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    【参照サイト】 消費者庁:エシカル消費(倫理的消費)に関する消費者意識調査報告書の概要について

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