【まとめ】飲食店が持続可能な調達をする際に知っておきたい認証制度

By table source 編集部
In コラム
Posted 2021/03/14
Updated 2023/05/2
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私たちが食料を大量に生産、消費、廃棄する一連のフードシステムは、気候変動や森林破壊、強制労働など、さまざまな社会問題と密接に関わっている。飲食店はどのような食材を選ぶのかによってこのような問題の一部にも解決の一部にもなりうる。また、飲食店を選ぶ消費者は、これまで飲食店を味や値段で評価してきたが、それに加えて環境への配慮といった意識も高まってきている。

飲食店がサステナビリティについて考える際、どこから取り組めば良いのか悩む方も多いのではないだろうか。飲食店が再生可能エネルギーを選択することや食品ロスを削減することはもちろん、飲食店を取り巻くさまざまなステークホルダーとの関係においても取り組めることは多い。

例えば、食材を調達する生産者については、ショートサプライチェーンと呼ばれるような生産と消費の距離を縮める取り組みや、持続可能な生産に関する認証を受けている食材の選択、アニマルウェルフェアに配慮した肉・乳製品の調達など、どのような生産者を選択するかで持続可能性は変わってくるのである。

そこで今回は、国内で持続可能な食材調達を行う際に知っておきたい認証制度を紹介する。

1. 公正な取引に関する認証制度

国際フェアトレード認証

国際フェアトレード認証ラベルは、製品の原料が生産され、輸出入、加工、製造されるまでの間に、国際フェアトレードラベル機構が定めた基準が守られている事を示す。フェアトレード認証製品市場で大きな割合を占めるのはコーヒーだが、チョコレートの原料となるカカオやコットン製品、バナナ、スパイス等も増えている。他にも、砂糖、ジャム、はちみつ、ごま、ワイン等がある。

レインフォレスト・アライアンス認証

レインフォレスト・アライアンス認証マークは、製品または特定の原料が、レインフォレスト・アライアンスが定めた持続可能な農業基準や農園管理基準を満たした農場で生産されたものであることを示す。主に、コーヒーやカカオ、バナナ、紅茶等の製品に付与されている。

2. 持続可能な農業・畜産・漁業に関する認証制度

有機JAS

有機JASマークは、農林水産省に認可された登録認証機関の検査を経て、農薬や化学肥料などの化学物質に頼らず自然界の力で生産されたと認められた食品であることを示す。主に、農産物や加工食品、飼料及び畜産物に付与される。有機JASマークがない農産物や加工食品、畜産物に、「有機」や「オーガニック」などの名称を表示することは法律で禁止されている。

JGAP認証

JGAP認証とは、農場やJA等の生産者団体が活用する農場管理の基準のことを示す。農薬や肥料の管理など、持続可能な農業につながるさまざまな基準が定められている。農産物においては、食品安全や労働安全、環境保全、人権福祉など持続可能な農場経営への取組みに関する基準となっており、家畜・畜産物においては、持続可能な農場経営への取り組みに重要となる、食品安全を始め、家畜の健康（家畜衛生）や快適な飼育環境への配慮（アニマルウェルフェア）、労働者の安全対策、環境保全などの項目が定められている。

MSC認証

MSC認証とは、持続可能な漁業の普及に努める非営利団体海洋管理協議会 MSCによる世界的な認証制度。MSC認証を取得した漁業で獲られた天然の水産物には「海のエコラベル」と呼ばれるMSCラベルを表示できる。

ASC認証

ASC認証とは、責任ある養殖水産物の普及に努める非営利団体水産養殖管理協議会 ASCによる世界的な認証制度。ASC認証を取得した養殖場で育てられた水産物には「海のエコラベル」と呼ばれるASCラベルを表示できる。

3. ベジタリアン・ヴィーガンに関する認証制度

ベジタリアン認証

原材料に、肉魚介類昆虫等、それらに由来する物を含まないことを示す。

ヴィーガン認証

原材料に、肉魚介類卵乳製品はちみつ等、動物に由来する物を含まないことを示す。また、製品だけでなく飲食店に対する認証もあり、店舗のメインとなるメニューにヴィーガン対応を含むベジタリアン料理の選択がある飲食店にヴィーガン・ベジタリアン対応マークを付与している。

今回は公正な取引や、持続可能な生産、プラントベースに関する認証をそれぞれ紹介した。昨今、ミレニアル世代を筆頭にサステナビリティへの関心が高まっている中、消費者の購買行動においても「買い物は投票だ」という意識が根付き始めているように感じる。これから飲食店が持続可能な経営をしていくためには、今回紹介した認証制度にこだわらずとも、調達している食材がどのような環境で生産されたものなのか、その生産方法は持続可能なのかを見直すところから始めてみることをお勧めしたい。