「ホテルのサーキュラーエコノミーを考える」というテーマでお届けしているコラムの第1回目では、ホテルのサーキュラーエコノミーを考える(1)基礎編として、基礎的な概念と、ホテルがどのようにサーキュラーエコノミーを実践できるかについての概要を紹介した。第2回目のテーマは、持続可能なホテルを運営する上で欠かせない「認証制度」。認証制度を取得することで企業としてのブランドイメージや信頼性が向上し、宿泊客を獲得できるだけでなく、地域との関係性もよくなる可能性がある。また、従業員のモチベーションが上がることで継続したサステナビリティの実現やさらなる向上も見込める。一方で、認証制度の中には費用がかかったり、調査に人員や時間を要する場合もある。ここでは、「宿泊施設」「建物」「企業」という規模に分けて紹介するので、自身のホテルがどのような認証を取得すると良いかを考えながら読んでいただきたい。

宿泊施設として取得する認証制度

コロナ禍で関心が高まっている新たな観光スタイル「サステナブルツーリズム(持続可能な観光)」。旅行者がホテルを選ぶ上で、環境に配慮した宿泊施設の認証を取得しているかどうかは重要なポイントとなる。

|Green Key
Green Key(グリーンキー)は約100の国際基準について認証審査を受け、基準を満たした施設に与えられる認証でありエコラベル。申し込みをしてから、監査人による現場訪問が入り、審査員によって認定が決まる。2019年時点で約3,100軒の宿泊施設がGreen Keyを取得しているうち、国内での取得は3軒だ。施設がGreen Key認証に申請する準備ができているか確認できるテストもあるので試してみるのもいいかもしれない。

|BIO HOTEL®認証制度
世界一のBIO(ドイツ語でオーガニック)基準を規約とする「ビオホテル協会(Die BIO HOTELS)」が策定した認定制度。認定を受けるにはホテルで提供する食事や飲み物、アメニティ類などは、すべてオーガニックなものを使用しなければならない。また、施設の建材や内装材も可能な限り自然素材を使用し、再生可能エネルギーの積極的な活用を含め、CO2排出量削減にも厳格に取り組むなど厳しい基準を満たすことも必要となってくる。日本では、「ビオホテル協会」の公認を受け、2013年5月に発足した「BIO HOTELS JAPAN(一般社団法人日本ビオホテル協会)」がガイドラインを作成し、BIO HOTELS JAPAN認証を行なっている。2021年時点で国内で認定を受けている宿泊施設はカミツレの里 八寿恵荘Auberge erba stella(オーベルジュ エルバステラ)の2軒だ。

|エコマーク認定
両手でアルファベットの「e」の形を作っているマーク「エコマーク」。誰もが一度は目にしたことがあるのではないだろうか。環境保全に役立ち、環境への負荷が少ない商品のための目印だが、そのエコマークがホテルや旅館にも表示できる。ホテルや旅館における省エネ・節水・廃棄物削減などの基本的な環境対策に加えて、宿泊施設の環境活動に対する利用者の理解を深め、宿泊を通して環境配慮への気づきを与える環境ことなどが求められる。こうした内容が認定基準として定められており、基準を満たした上で審査委員会に認定されることで施設にエコマークを表示することが可能だ。すでに野村不動産グループホテルなどが取得しているので、参考にしていただきたい。

建物として取得する認証制度

2020年8月に、株式会社ビオスタイルが運営するGOOD NATURE HOTEL KYOTOがLEED認証とWELL認証を合わせて持つ世界初のホテルとなったことが話題になった。建物に関するこの二つの認証制度を見ていきたい。

|LEED認証
LEED(Leadership in Energy & Environmental Design)は環境に配慮したグリーンビルディングを評価する制度だ。コストや資源の削減を進めながら、人々の健康に良い影響を与え、また、再生可能なクリーンエネルギーを促進している建築物が対象となる。LEED認証を受けるためには、グリーンビルディングとして備えるべき必須条件を満たすとともに、選択項目のポイントを取得することが求められる。取得したポイントによって4段階の認証レベルが決められている。2020年時点での累計認証件数は約86,000件で、日本では149件が認証されている。

|WELL認証
WELL Building Standard®は、人々の健康とウェルネスに焦点を合わせた建築や街区の環境を評価する制度だ。人の健康とウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好であること)に影響を与えるさまざまな機能を測定・評価・認証する。WELL認証を受けるためには、必須条件を満たすとともに、必要な数の加点項目を取得することが求められ、点数が多いと認証レベルが高くなる。2021年現在の累計登録件数は9,833件、そのうち486件が認証を受けている。日本での登録は2016年以降、年々増加し現在61件が登録されている。

企業として取得する認証制度

近年、社会のあらゆる企業活動に環境配慮が求められている。企業として取得できる認証制度についても把握しておこう。

|ISO 14001
ISO 14001はサステナビリティの考えのもと、環境リスクの低減や環境への貢献を目指す環境マネジメントシステムの国際規格。日本国内では2021年現在21,000件を超える企業が取得している。日本だけではなく世界各国にも同様の認定制度があるため、(IAF 国際相互承認)に加盟している認定機関から認定を受けた認証は、国内外問わず通用する。

まずは、企業が抱える環境に関する課題を洗い出すことから始まり、優先順位を定めてPDCA(Plan/計画、-Do/実行、Check/点検、Action/レビュー)によって改善していく。認証機関は、企業が「要求事項」と呼ばれる基準を満たしているかを審査し、満たしていれば認証証明書(登録証)を発行するとともに、社会一般に公開する。継続的に改善したい企業は、PDCAと審査を繰り返し、認証を維持していく。一般的には、PDCAをコンサルティング会社に、審査を認証機関に依頼するため、会社の規模や依頼内容によっては費用が高額だと感じる人もいるかもしれない。

|エコアクション21
エコアクション21は、環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステム。中小企業でも取り組みやすいのが特徴で、2021年現在の認証・登録数約7,900件のうち約90%が従業員100人以下だ。ISO14001規格を参考としつつ、独自のガイドラインを用いながら、環境への負荷や環境への取組といった現状把握を企業自身が行うため、中小企業にとっても取り組みやすいシステムになっている。

|KES
KESとはKyoto(京都)Environmental Management System(環境マネジメントシステム)Standard(スタンダード)の略で、京都議定書の発祥地、京都から発信された環境マネジメント規格のことだ。2021年時点で登録企業は5,000件以上。基本コンセプトはISO14001と同様だが、用語や規格の内容がよりシンプルになっていること、また、審査員がボランテイアベースであることから、比較的低コストで審査・コンサルテイングを受けることが可能だ。

レストランとして取得する認証制度

最後にレストランを付帯するホテルに知っておいていただきたい認証制度を紹介する。

|FOOD MADE GOOD
英国に本部を構えるSRA(Sustainable Restaurant Association)の日本支部、日本サステイナブル・レストラン協会が認定する持続可能なフードシステムを実現するための飲食店格付けプログラム「FOOD MADE GOOD」。飲食店におけるサステナビリティの取り組みが一つ星〜三つ星で評価される。また、50の項目をベースに自社のサステナビリティ活動の現状を把握し、重点的に取り組むべき項目を特定することができる簡易診断ツール「FOOD MADE GOOD50」も提供している。

まとめ

いかがだっただろうか。中には取得するのに大掛かりだと感じる認証制度もあったかもしれない。重要なのは、環境に配慮した行動を実践しているかどうかなので、まずはGPN(グリーン購入ネートワーク)が作成したチェックリストなどを活用し、現状把握や課題の確認をしてみるのもいいだろう。

【参照サイト】ISO 14001
【参照サイト】KES
【参照サイト】EA21
【参照サイト】WELL認証
【参照サイト】LEED認証
【参照サイト】エコマーク認定
【参照サイト】BIO HOTEL®認証制度
【参照サイト】Green Key
【参照サイト】ISO14001適合組織統計データ|公益財団法人日本適合性認定協会

【関連記事】【まとめ】飲食店が持続可能な調達をする際に知っておきたい認証制度
【関連記事】ホテルのサーキュラーエコノミーを考える(1)基礎編

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